認定日本語教育機関の本申請に向けた対応と事前相談の重要性

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執筆者橋本 侑樹
コラムテーマ日本語学校
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皆様、いつも本コラムをご覧いただきありがとうございます。 今回のコラムでは、「認定日本語教育機関の本申請に向けた対応と事前相談の重要性」と題しまして、 (1)認定日本語教育機関制度の背景と申請の現状 (2)事前相談の真の目的とよくある指摘事項 (3)事前相談の結果を踏まえた3つの対応ケース について、最新の動向を交えて詳しく解説させていただきます。

(1)認定日本語教育機関制度の背景と申請の現状

現在、国内の在留外国人と日本語学習者数は増加傾向にありますが、その一方で日本語教育の質の確保や、専門性を有する教員の確保が十分ではないという課題が指摘されてきました。これを受け、法務省から文部科学省へと管轄が移り、より「教育の質」を重視した審査を行う「認定日本語教育機関」制度が本格始動しています。


しかし、直近3回の申請状況を振り返ると、認定率はわずか30%台に留まっており、非常に狭き門となっているのが実情です。 この背景には、審査の過程で文部科学省から「現状では不認定になる可能性が高い」と示唆され、機関名の公表を避けるために自ら「取下げ」を選択する学校が非常に多いという実態があります。


認定校として登録されるためには、単なる書類の不備をなくすだけでなく、カリキュラムの妥当性や教員体制、さらには情報の公表体制まで、制度の趣旨に沿った高い水準での準備が求められています。

(2)事前相談の真の目的とよくある指摘事項


本申請の前に設定されている「事前相談」は、名称こそ相談ですが、その実態は「形式的な予備審査」に近いものです。 手引き上では書類の過不足確認とされていますが、実際には本申請で提出する全ての様式および添付書類(約40種類以上)を、相談日の2週間前までに原則全て提出しなければなりません。つまり、この段階で書類が揃わない機関は、本申請に進むことすらできない仕組みとなっています。


事前相談において特によく見られる指摘事項は以下の通りです。


●様式・添付書類の不備:手引きや作成上の注意事項に沿っていない形式的なミス。
●法的要件の未充足:日本語教育機関認定法や関連規定に内容が適合していないケース。
●資料間の整合性不足:例えば、収支見込書と生徒納付金の概要、あるいはカリキュラムと教員配置など、複数の資料間で数字や内容が矛盾している状態。


特に、審査の要となる「様式10号(カリキュラム関係)」や、作成に手間を要する「事業別決算書」、発行に時間を要する「登記事項証明書」などは、早期からの準備が不可欠です。

(3)事前相談の結果を踏まえた3つの対応ケース


事前相談で受けた指摘の数やその深刻度によって、本申請に向けた戦略を慎重に判断する必要があります。主な対応としては以下の3つのケースが想定されます。


●【ケース①】指摘が軽微で数が少ない場合 基本的には指摘箇所を修正し、予定通り本申請(5月または10月)を目指します。ただし、修正期間は1〜2ヶ月と極めて短いため、人員を増員して一気に完成度を高める体制づくりが必要です。


●【ケース②】指摘が致命的だが、何とか本申請を目指す場合 指摘内容が法的根拠に関わるなど重い場合、修正には多大な工数がかかります。この場合、主任教員や担当職員を通常の授業や校務から完全に外し、申請書類の修正に専念できる「特命体制」を構築することを強くお勧めします。


●【ケース③】本申請を断念し、時期を延期する場合 指摘が多岐にわたり、期限内の修正が困難な場合は、次回の申請時期(例:5月から10月へ)まで延ばすという選択です。時間をかけることで「教育の質」を担保した質の高い申請が可能になりますが、認定を獲得できるチャンス(申請回数)が物理的に減ってしまうという経営上のリスクも考慮しなければなりません。


本申請後は内容の修正が一切認められず、その後の面接審査へと進みます。事前相談を単なる手続きと捉えず、本申請合格のための最大の関門として、万全の体制で臨んでいただければと思います。

執筆者 : 橋本 侑樹

桜美林大学大学院大学アドミニストレーション実践研究学位プログラム修了後、新卒で株式会社船井総合研究所に入社。 東京大学大学院大学経営・政策コース修士課程在学中。大学・専門学校等の高等教育機関や認定日本語教育機関の申請支援に従事。大学新設・改組や機関認定の支援において、厳格化された学生確保見通しの調査や、教員審査の仮判定を得意としている。また、認定日本語教育機関の認定申請に関しても多くの支援実績を持っている。