〜全国の保育・医療・福祉の実践者が集結し、こどもの育ちを支える具体的な取組について議論〜
中堅・中小企業を対象に専門コンサルタントを擁する経営コンサルティング会社の株式会社船井総合研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:真貝大介、以下、船井総合研究所)は、こども家庭庁委託事業「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」策定にかかる取組推進(科学的知見の充実・普及に向けた調査研究(こどもに関わる専門職による『はじめの100か月ビジョン』の推進)」の事務局として、2026年2月24日(火)に専門職向けの懇談会を開催しました。
全国各地から幼児教育・保育、子育て支援、医療、福祉など、多様な立場の実践者が対面およびオンラインのハイブリッド形式で集結し、「こどもの育ちを支える具体的な取組」について活発な議論が交わされました。
事業の目的と背景
令和5年12月に閣議決定された「はじめの100か月の育ちビジョン」に基づき、すべてのこどもの育ちを切れ目なく支援し、保護者のウェルビーイング向上を図ることが目的です 。本事業では、こどもに関わる専門職がビジョン実現のために実践できる取組事例を収集し、専門職同士の懇談会を開催しました。これらの成果を事例集としてまとめ、科学的知見の普及とビジョンの具現化を全国で推進し、こどもの育ちの質の向上を目指します。
「はじめの100か月の育ちビジョン」についてはこちらをご覧ください。
https://www.cfa.go.jp/policies/kodomo_sodachi
現場の声から見えてきた「これからの支援」のかたち
懇談会では、事前に行ったヒアリング調査の結果をもとに、議論を深めました。
1. 「おとなも本気で楽しむ」から、こどもが育つ
茨城県の「わかな保育園」では、こども用の田んぼだけでなく、保護者や卒園児の農家さんも参加する「おとな用の田んぼ」を用意しています 。おとなが泥だらけになって本気で田植えを楽しむ姿を、こどもたちはじっと見ています。その背中を見せることこそが、こども自身のやる気を引き出す一番の栄養になっているというお話がありました。
2. 地域に「多様なおとな」がいることが、こどもの安心感を育む
北海道の「リズム学園」では、地域の高齢者が「えんじょい組」の園児として週に一度通ってきます 。一緒に給食を食べ、遊ぶといった日常を共にする中で、おとなたちが一人の人間として生き生きと過ごす姿が、こどもたちの目にも魅力的に映っています。
また、おとなとこどもの繋がりは園の外にも広がっています。ある中学生が、悩みの相談相手に親や学校の先生ではなく、3か月に1度行く「美容師さん」を挙げたというエピソードがありました 。親や先生といった「近すぎるおとな」ではなく、一人の魅力的なおとなとして地域にいる「ほどよい距離感の人」が、こどもにとっての本音を漏らせる居場所になっているようです。
3. 「場所を教える」だけでなく「一緒に行く」
孤立しがちな家庭をどう支えるか。佐賀県の「諸富地区社会福祉協議会」では、子育て支援ひろば(親子が交流できる場)へ自ら足を運ぶのが難しい保護者に対し、ホームスタートを始めました。ひろばに来てくれるよう単にパンフレットを渡して場所を案内するのではなく、保健師さんと共に家庭を訪ねて「待っているよ」「一緒に出かけよう」と声をかけ、ボランティアとして気軽な友達感覚でつなぐようにしています。「顔を知っている人がそこにいる」という安心感が、次の一歩を踏み出す勇気になります。何回か訪問する中でお互いの関係性ができ、「じゃあ行ってみようか」となり、そこから手離れして自立されていくケースが多いそうです。指導型ではなく自由に集い育ち合える場所という基本の中で、お母さん同士が育ち合っていく姿がみられます。
懇談会の後半では、グループディスカッションを通じて、ビジョン実現に向けた議論が行われました。
1.「個人情報の壁」をどう超えるか
個人情報保護の観点から、行政が持つ名簿をそのまま地域に渡すことは難しいため、地域で誕生した赤ちゃんの情報を把握しにくいという課題があります。この課題に対し、大阪府豊中市では一歩踏み込んだ連携が行われています。市が実施する乳児家庭への全戸訪問(生後4か月までの「こんにちは赤ちゃん事業」)に、地域の住民である主任児童委員が「同行」させてもらう仕組みです 。
行政(市)が、普段から地域を見守る住民を「信頼できるパートナー」として家庭に直接紹介しながら訪問することで、保護者も「この人なら安心」と心を開きやすくなります。単にデータを共有するのではなく、行政が地域住民に「信頼のバトン」を直接手渡すことで、訪問後も地域の子育てサロンへスムーズに繋げることができるという連携のあり方が示されました 。
2.「中継役」としての専門職
最初から支援機関に繋がることが難しい家庭にとって、日常的に顔を合わせる保健師や園の先生、近所の民生委員が「中継役」となり、信頼のバトンを渡していく。
この「顔の見える中継」こそが、制度の切れ目を埋める唯一の手段であるという認識が共有されました。
登壇した有識者(順不同・敬称略)
● 秋山 千枝子(あきやま子どもクリニック 院長)
● 安達 久美子(東京都立大学大学院 人間健康科学研究科 教授)
● 新澤 拓治(社会福祉法人雲柱社 地域子ども家庭支援センター光が丘 所長)
● 松延 毅(社会福祉法人浄勝会 小池保育園 園長)
<本件に関するお問い合わせ>
株式会社船井総合研究所
パブリックセクター支援室
https://www.funaisoken.co.jp/form/consulting

