【新規事業】就労継続支援B型とは?保育園経営者が知るべき制度概要と収支構造

  • 保育園・こども園・幼稚園
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更新日
執筆者児玉 梨沙
コラムテーマ新コース開発,セミナー・研究会のご案内
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いつも コラムをご覧いただきありがとうございます。株式会社 船井総合研究所 福祉グループ マネージャーの児玉 梨沙です。

朝晩の冷え込みが日ごとに深まり、行事シーズンで園も法人も慌ただしい頃かと存じます。職員の皆様も子どもたちも、そして経営者の皆様ご自身も、どうぞご自愛ください。

さて、皆様の園の職員の1日を思い浮かべてみてください。子どもたちと過ごす時間の合間に、洗濯物を回収して干す、おもちゃや教材を手作りする、行事の準備品を裁縫する、園庭の草むしりをする…。こうした「表に見えにくい仕事」は、誰かがやらないと保育が回らないものですが、その担い手はほとんどの場合、保育士や事務職員です。

「職員の休憩が取れない」「残業が減らない」理由が、実はこうした仕事の積み重ねにある――そんな園は少なくありません。

さらに、児童発達支援・放課後等デイサービスに通う「気になる子」の卒園後の進路を、法人としてどこまで支えられるのか、という課題をお持ちの法人様も多いのではないでしょうか。

本日は、その2つの課題に同時にアプローチできる新規事業・業態付加の一手として近年注目されている「就労継続支援B型」の制度概要と収支構造について、わかりやすく解説いたします。新規事業の選択肢の一つとして、ぜひ最後までご一読ください。

就労継続支援B型とは|雇用契約を結ばず、自分のペースで働ける障害福祉サービス

就労継続支援B型は、障がいや難病のある方が、自分に合ったペースで「働く」経験を積める障害福祉サービスの一つです。制度に基づき、お住まいの市町村から指定を受けた事業所が運営します。

一般企業で働くことに不安がある方や、体調・特性に合わせて働きたい方に対して、働く機会や日中の居場所を提供するサービスです。雇用契約を結ばず、一人ひとりに合ったペースで仕事に取り組める点が大きな特徴です。

仕事内容は事業所ごとにさまざまですが、軽作業、清掃、制作、事務補助、農作業など、比較的取り組みやすい仕事から始められるケースが多くあります。

売上の仕組みは「保険収入+生産活動収入」の2本立て

就労継続支援B型の売上は、次の式で表せます。

売上=(1日の平均利用者数 × 開業日数)× 報酬単価 + 生産活動収入

利用者の働いた日数と実績に応じて、国・自治体から保険報酬(訓練等給付費)が支払われるのが基本です。これに加え、事業所が制作した物を販売したり、園から業務委託を受けたりして得る「生産活動収入(通常売上)」が上乗せされます。to C事業として直接販売することも可能です。

例えば、愛知県名古屋市(3級地)で定員20名(施設外就労を含め定員40名)、平均工賃35,000円~45,000円の設定で、「1日の平均利用者数40名×月22日×805単位(約8,050円)」と計算すると、月間保険収入は約708万円となります。これに生産活動収入が加わり、年間売上9,000万円・年間営業利益3,000万円というモデルも、条件によっては十分現実的です。

※収益ラインは人員配置や加算の設定、地域の報酬単価、工賃の設定などによって大きく変わります。制度を正しく理解した上での事業計画が重要です。

利用者には、生産活動収入(売上-経費)から「工賃」が支払われます。工賃は作業ごとではなく、利用者の能力に応じて設定するのが一般的です。

前述のモデルのような水準の工賃を実現できれば、利用者にとって「続けやすい働き方」になり、結果として利用者の定着にもつながります。利用者募集から定着まで、まさに経営戦略として描きやすい事業だと言えます。

なぜ保育園・幼稚園・認定こども園と就労継続支援B型は相性がいいのか

この事業モデルが保育園・幼稚園・認定こども園にオススメである最大のポイントは、「保育現場の負担軽減」と「気になる子のその先の支援」が両立できる点です。

理由① 園で日々発生する仕事を、そのまま仕事にしやすい
洗濯、制作、清掃、環境整備など、保育現場で日常的に発生する仕事は、就労継続支援B型の仕事として切り出しやすく、職員の負担軽減にもつながります。

理由②子どもたちのためにある仕事だから、やりがいにつながりやすい
教材づくりやおもちゃづくり、園の環境整備などは、「誰のための仕事か」が見えやすく、利用者の前向きな取り組みにもつながりやすい仕事です。

理由③卒園後・卒業後の支援まで、法人の中で考えられる
今、園に通う子どもたちの将来を見据え、卒園後・卒業後の進路先まで法人として考えられることは、保護者にとっても大きな安心につながります。

高知・学校法人せいわのわ様の事例が示す「園の仕事」の切り出し方

このモデルを実際に形にされているのが、高知県高知市の学校法人 せいわのわ様です。同法人は認定こども園をはじめ、小規模保育所、企業主導型保育所、児童発達支援・放課後等デイサービス、学童保育、学習支援など幅広い子育て支援を展開されており、2025年9月に就労継続支援B型「アルペンワーク」を開所されました。

同法人が事業の起点にしたのは、グループ内の保育園で実施している「手ぶら保育」の洗濯業務です。毎日発生するため職員の負担が大きかった一方、保護者に喜んでいただける取り組みは手放せない――そこで「業務を外す」のではなく「別の担い手に担ってもらう」という発想で、洗濯を就労継続支援B型の仕事として切り出しました。

実際に洗濯を担うようになってからは、「園の保育士が昼休憩を取りやすくなった」という声が届いているそうです。現在の契約者は18名で、20代を中心に女性の比率が高いのも特徴です。「幼稚園・保育園に関わる仕事ができる」「子どもたちのためになる仕事に取り組める」という点は、他の就労継続支援B型にはあまり見られない部分で、利用者募集の面でも大きな強みになっています。

11月開催!「保育×就労継続支援B型 新規立ち上げセミナー」

「具体的な制度設計や収支計画をどう立てればいいのか?」「園の仕事の切り出し方や、行政対応の進め方を知りたい」

そんな経営者の皆さまの不安を解消する、「保育×就労継続支援B型 新規立ち上げセミナー」を開催します!本セミナーでは、保育・障がい福祉の業界動向と就労継続支援B型の基本、ゲスト講座として高知・学校法人 せいわのわ様による立ち上げの背景と成功のポイント、そして事業計画・物件・人員体制・申請・利用者募集・日々の運営の考え方を整理して解説する立ち上げ実践講座を、1日でギュッと凝縮してお届けします。

<このような方におすすめ>
・既存の事業ノウハウを活かし、次なる新規事業へチャレンジしたい方
・児童発達支援・放課後等デイサービス卒業後のその先の支援を考えたい方
・保育現場の業務負担を軽減し、働きやすい環境づくりを進めたい方
・園で出会った気になる子の卒業後の支援まで考えたい方
・保育×就労継続支援B型の立ち上げ方を基礎から学びたい方

【日時・会場】
東京会場:2026年11月16日(月)14:00~17:00
大阪会場:2026年11月24日(火)14:00~17:00
※講義内容は両会場とも同じです。ご都合のよい会場をお選びください。

【参加料金】
一般価格 30,000円(税込 33,000円)/ 一名様
会員価格 24,000円(税込 26,400円)/ 一名様

セミナー詳細・申込はこちらから

執筆者 : 児玉 梨沙

宮崎県出身。東京大学教育学部を卒業後、船井総合研究所に入社。 保育園や幼稚園などの子ども・子育て支援分野、そして児童発達支援・放課後等デイサービスや就労継続支援事業など、障がい福祉分野において、事業展開、マーケティング戦略、マネジメント戦略など、多岐にわたる分野でコンサルティングを行う。 自治体の「こども計画」策定などにも携わっており、豊富な実績と、官民双方における幅広い経験に基づき、クライアントに最適なソリューションを提供する。