A.専門学校の入学者数は、2010年以降横ばいから微減傾向にあります。2006年以降は入学定員に対して志願者数が下回る状況が常態化しています。留学生の影響で伸びている学科もありますが、日本人のみで入学者を増やしている学科は一部に限定されています。18歳人口の急減や大学進学率の過去最高更新などにより、市場環境は厳しさを増しています。
1. 専門学校の入学者数の全体的な推移と現状
文部科学省の学校基本調査によると、専門学校の入学者数は2010年以降、概ね横ばいから微減傾向で推移しています。しかし、実態として見逃せないのが志願倍率の低下です。2006年以降、入学定員に対して志願者数が下回る状況が常態化しており、定員充足が難しくなっている学校が少なくありません。少子化の進行により、専門学校市場全体は成熟期から衰退期へと移行しつつあり、入学者を安定的に確保して好調を維持する学校と、大幅に定員を割る学校との二極化が顕著になっています。
2. 学科系統別の入学者数推移の特徴
分野別に近年の入学者数推移を見ると、明暗が分かれています。令和2年度から令和6年度までの5か年において、全体としては減少傾向にありますが、その中で「衛生関係」は比較的減少幅が少なく、手堅い推移を見せています。一方で、医療関係や工業関係、商業実務、服飾・家政関係などは大きく市場が縮小しています。 また、全体の中で入学者数が伸びている学科もありますが、これらは留学生の増加に支えられているケースが多く見受けられます。日本人のみで順調に入学者を伸ばしている分野は「理容・美容」や「動物」など一部の分野に限られており、国内市場のみでの学生確保は至難の業となっています。
3. 入学者数減少を加速させる2つの外部要因
入学者数減少の背景には、大きく2つの要因があります。1つ目は、18歳人口の急減です。2031年頃までは緩やかな減少が続きますが、2031年から2036年、さらに2041年にかけては減少率が大幅に加速すると推計されており、既存のターゲット層が急激に縮小していく未来が確実視されています。 2つ目は、大学進学志向の高まりと大学全入時代の到来です。2023年の大学(学部)進学率は61.1%と過去最高を記録しました。これまで専門学校へ進学していた層が、定員に余裕の出た大学へと流れており、専門学校にとっては非常に強い逆風となっています。加えて、人手不足を背景とした企業側の高卒採用意欲も高まっており、求人倍率も過去最高水準に達しています。専門学校は大学・企業という強力な競合と高校生を奪い合う過酷な環境に置かれています。
4. 厳しい環境下で入学者数を確保するための対策
このような厳しい市場環境において入学者数を維持・増加させるためには、従来の「オープンキャンパスで待つ」募集活動からの脱却が必要です。市場が縮小する中でも志願者を増やしている学校は、早期から高校1・2年生や小中学生に向けて職業の魅力を啓蒙し、見込み客を育てる「ナーチャリング型広報(集客と育成)」を実践しています。また、高校生のみならず、社会人や既卒者といった18歳以外の新たなターゲット層を開拓することも、学校を存続させるための有効な戦略です。さらに、広報活動の強化だけでは定員確保に限度があります。教育内容や国家試験の合格率、出口となる就職先の質といった「商品力」を根本から磨き上げ、競合校や大学と比較された際に選ばれる絶対的な強みを作ることが、成功のための最大の鍵となります。
【船井総研の提言】
18歳人口の激減と大学全入時代が重なる中、専門学校が生き残るには、従来の前例踏襲の募集手法では限界があります。選ばれる学校になるためには、ターゲットの再設定やデジタル広報の強化に加え、根本的な「商品力(教育内容・就職実績)」の磨き込みが不可欠です。船井総合研究所では、市場動向の分析から戦略立案、現場の実行支援までを一貫して行い、持続的な入学者数確保と強い学校づくりを全力で伴走サポートいたします。

