A.専門学校の今後は、18歳人口の減少と大学進学率の上昇を背景に市場全体の縮小が続き、勝ち残る学校と淘汰される学校の「二極化」が鮮明になります。生き残るためには、留学生などの成長市場への参入による「規模拡大」か、収益性改善を行って「適正規模へ圧縮」するかの決断が不可避です。
1.18歳人口の減少と「大学全入時代」による強烈な逆風
今後の専門学校市場を展望する上で最大の課題となるのが、ターゲット層の構造的な減少です。直近でも18歳人口の減少は続いていますが、令和14年(2032年)以降は毎年3%以上のペースで減少していくと予測されています。さらに、2023年の大学進学率が過去最高の61.1%を記録するなど「大学志向の高まり」と「大学全入時代」の到来が重なり、かつて専門学校を選んでいた層の流出が加速しています。この結果、専門学校の入学者数は長らく横ばいから減少傾向にあり、市場全体が成熟期から衰退期へと移行しているのが現状です。
2.民間参入やM&Aの増加による業界再編と「二極化」
市場が縮小する中、専門学校業界全体としては施設の建て替えなどの「ハード投資」を抑制し、教育の質や広報といった「ソフトへの投資」へとシフトする傾向が強まっています。同時に、資本力のある民間企業(異業種や外国資本)の業界参入や、学校法人のM&A(合併・買収)が増加しており、業界の再編が進んでいます。この動きに伴い、的確なデジタル広報や独自の教育プログラムで志願者を集める学校と、前例踏襲の募集を続けて定員割れに苦しむ学校との「二極化」が、今後はより一層はっきりと分かれることになります。
3.生き残りの方向性①:差別化と成長市場へのシフト(規模拡大)
縮小市場において専門学校が生き残るための第一の方向性は、他校との圧倒的な差別化や成長市場への参入による「規模拡大路線」です。従来の18歳人口(高校3年生)のみに依存するビジネスモデルから脱却し、留学生の受け入れなど、伸びている市場へ事業をシフトさせることが求められます。
4.生き残りの方向性②:収益性改善による適正規模への規模圧縮、もしくはM&A
独自の差別化や規模拡大が困難な場合、第二の方向性として「規模圧縮路線」を選択する必要があります。具体的には、授業や授業外の教育面での教員の負担を軽減し、人件費などのコストを圧縮して利益率を高める手法です。また、定員割れで生じた余剰な校舎・教室スペースを活用し、日本語学科や他事業など新たな収益源を付加することも有効です。さらに、収益性を改善した後に、出口戦略としてM&Aの可能性も考えられます。
5.「18歳以外」の新たなターゲット層を開拓するマーケティング
今後の専門学校経営においては、従来の募集手法が通用しなくなるため、「18歳以外のターゲット確保」が生命線となります。社会人、大学卒業生、フリーターや主婦など、キャリアアップやキャリアチェンジを目指す層に向けたWeb広報(特設ページの作成やWeb広告の運用など)を強化し、新たな母集団を形成する必要があります。同時に、高校3年生からではなく、中学生や高校1・2年生という早期段階から接点を持ち、職業の魅力を啓蒙して志望度を育成する「ナーチャリング型広報」への転換が、持続的な入学者確保の鍵を握ります。
【船井総研の提言】
専門学校業界の市場は縮小していくことが確実であり、中途半端な現状維持は学校の存続を危うくします。経営トップは自校の現状を客観的に見極め、「差別化による規模拡大」か「適正規模への圧縮」のどちらの道を進むのか、早急に方向性を定める決断力が求められます。戦略を明確にし、教職員を巻き込んだ組織体制で改革を実行することが、次世代における地域一番校への最短ルートです。

