A.専門学校の進学率は、令和2年・3年の24.0%をピークに低下傾向に転じ、直近の令和5年度は21.9%となっています。この背景には、大学進学率が61.1%と過去最高を更新する「大学全入時代」の到来があります。18歳人口の減少も重なり、専門学校市場は入学者確保が極めて困難な衰退期へと移行しています。
1.専門学校の進学率と入学者数の推移
専門学校の進学率は、平成初期の13.2%(平成6年度)から徐々に上昇し、令和2年度および令和3年度には24.0%に達しました。しかし、その後は低下傾向に転じ、直近の令和5年度(2023年度)では21.9%となっています。実際の入学者数を見ても、2010年以降は長らく横ばい傾向でしたが、近年は微減基調が鮮明になっています。また、2006年以降は入学定員に対して志願者数が下回る状況が常態化しており、定員確保が困難な時代が長く続いています。
2.進学率低下の最大の要因「大学全入時代」の到来
進学率が伸び悩む最大の理由は、高校生の強い「大学志向」と「大学全入時代」の本格化です。令和5年度の大学(学部)・短大(本科)の進学率は61.1%に達し、過去最高を記録しました。少子化の影響で中堅以下の大学へも進学が容易になっており、かつてであれば専門学校を選んでいた層が大学へ流出しています。これまでのように「大学に行けないから専門学校を選ぶ」という消極的な理由での入学は激減しており、専門学校は大学進学層からも選ばれるだけの強力な魅力(商品力)を提示しなければ生き残れない環境となっています。
3.18歳人口の激減と企業の高卒採用強化という二重の逆風
進学率の低下に加え、ターゲットとなる18歳人口そのものの減少も深刻な課題です。直近でも毎年1~2%程度の減少が続いていますが、2031年以降は減少が加速し、2036年からはさらに急激な減少率になることが推計されています。それに拍車をかけるのが、企業の高卒採用の強化です。現在の就職市場は求人倍率が3.52倍とバブル期を超える「売り手市場」となっており、人手不足に悩む企業が高校生の採用に注力しています。これにより、専門学校に進学せず直接就職する層が増加しており、専門学校は大学だけでなく企業とも激しい人材獲得競争を繰り広げています。
4.逆境を乗り越えるための「育成型広報」への転換
このような市場環境下で専門学校が生き残るには、前例踏襲の募集活動から脱却しなければなりません。高校3年生を対象とした募集では、すでに進路が固まっているためパイの奪い合いとなり消耗戦に陥ります。成功している学校は、高校1・2年生や中学生といった低年齢層からアプローチを行い、職業の魅力を早期に啓蒙してファンを育てる「育成型広報」へと転換しています。さらに、留学生や社会人など、18歳以外の周辺市場を開拓していくことも、対象人口を増やし入学者数を維持するための有効な戦略となります。
【船井総研の提言】
専門学校市場は衰退期へと移行し、日本人学生の安定募集は至難の業となっています。この難局を乗り越えるには、経営トップの決断による「組織力・募集力・商品力」の3本柱の改革が必須です。従来の手法を脱却し、的確なマーケティングと強固な組織体制で、次世代に選ばれ続ける地域一番校を目指しましょう。

