A.専門学校の経営課題は、18歳人口の減少や「大学全入時代」による構造的な市場縮小に加え、内部の組織マネジメントにあります。具体的には、明確な数値・行動計画の欠如、広報活動の属人化とブラックボックス化、経営層と現場教職員の意識のギャップなどが挙げられ、これらを解決する組織力の強化が急務です。
1.18歳人口の減少と大学全入時代による市場の「衰退期」突入
専門学校の経営において最も根本的な課題は、ターゲットとなる18歳人口の構造的な減少です。さらに、大学進学率が61.1%と過去最高を記録する「大学全入時代」が到来しており、かつて専門学校を選んでいた層の大学への流出が加速しています。また、企業側の人手不足と過去最高の求人倍率(3.52倍)を背景とした高卒採用の強化も重なり、専門学校市場は明確な「衰退期」へと移行しています。
その結果、定員割れが常態化し、赤字経営や市場からの撤退を余儀なくされる学校が増加しており、学校経営の二極化が極めて鮮明になっています。
2.明確な数値目標と行動計画の欠如
多くの専門学校に共通する内部課題として、学生募集における「最低限の計画策定」ができていない点が挙げられます。小規模校だけでなく中堅規模の学校であっても、オープンキャンパスの参加者数などの細かい数値目標が定められておらず、数字の定義すら曖昧なケースが散見されます。年間目標だけで月次や週次の目標がないため、現状の進捗を正確に把握できず、目標を達成するための具体的な「行動計画」に落とし込めていないことが、募集活動が停滞する大きな原因となっています。
3.広報・営業活動の属人化と「ブラックボックス化」
学生募集の手法が、個人の担当者の経験や勘に依存した属人的なものになっていることも深刻な経営課題です。特に、来校した高校生が他校や大学への進学と迷っている際の「阻害要因」に対する的確な営業トークが、組織全体で共有されていません。これにより、対応する教職員によって接客の質に大きなバラつきが生じ、営業活動が「ブラックボックス化」してしまっています。属人的な対応から脱却し、上手な営業トークをマニュアル化して組織全体の「下限品質」を底上げすることが不可欠です。
4.経営層と現場教職員のギャップと「組織力」の低下
市場環境が厳しさを増す中で、経営陣と現場の教職員との間に意識のギャップが生じている学校も少なくありません。経営層の改革の意志が現場まで浸透しておらず、責任の所在が曖昧なまま、PDCAを回すためのリーダー(指揮官)が不在となっているケースが目立ちます。専門学校の学生募集においては、単なる広報テクニック以上に「組織力」が結果を左右します。経営トップが主導して会議体を整備し、教職員全員に数値目標を「自分事」として捉えさせる組織活性化が急務です。
5.商品力の強化と「出口戦略」の決断
入学者数を確保するには広報活動だけでなく、教育内容や就職実績といった「商品力」の根本的な強化が必要ですが、強みを明確に打ち出せていない学校が多いのが現状です。また、商品力を強化しても広報媒体や実際のイベント内容に落とし込めていないという課題もあります。さらに、圧倒的な差別化による単独での生き残りが困難な場合は、授業のオンデマンド化による教員配置の圧縮や、余剰教室の他事業への転用、あるいは売却(M&A)といった「出口戦略」を早急に決断することも、これからの学校経営における重大な課題となります。
【船井総研の提言】
専門学校の経営課題を解決するには、外部環境の悪化を嘆くのではなく、自校の「組織力・募集力・商品力」を根本から見直すことが不可欠です。中途半端な現状維持は学校の存続を危うくします。経営トップが強いリーダーシップを発揮し、明確な数値計画のもと教職員が一丸となってPDCAを回す「攻めの組織基盤」を構築することで、次世代に生き残る地域一番校を目指しましょう。

