A.近年の大学の設置認可申請は、専門職大学制度の創設以降、認可率が約50%まで低下するなど審査の厳格化が顕著です。学校法人審議会による財務や管理運営等の指摘が強化されており、客観的データに基づく計画が必要になっています。
1. 審査ハードルの上昇
かつての大学設置や学部新設の認可申請は、大学の自由競争を促す大綱化以降、基準を満たしていれば比較的スムーズに認可される傾向がありましたが、現在の状況は大きく異なります。平成31年度の専門職大学制度の創設以降、認可率は約50%まで大幅に低下しました。この厳格化では、大学を設立する理由、社会から求められる人材を養成できているのか、人材養成に十分なカリキュラムが編成されているのか、中長期的な視点で練り上げられた申請書を提出できなければ認可が下りない状況となっています。
2. 学校法人審議会の指摘強化による第2次厳格化
その後、認可率は一時的に改善の兆しを見せましたが、最近になって再び50%程度まで低下しています。この2回目の厳格化の背景には、学校法人審議会による指摘が強化されたことがあります。教育面を審査する大学設置分科会だけでなく、学校法人としての財務状況や管理運営体制といった経営基盤、財務を安定化するための学生確保の見通しが厳しく問われるようになっています。
3. 「学生確保の見通し」に対する審査の大幅な厳格化
近年の審査動向において最も注目すべき変化は、「学生確保の見通し」に対する審査がかつてないほど厳格化されている点です。少子化により18歳人口が減少する中、アンケート結果だけではなく、客観的な証拠を「重層的に」示す必要があります。全国や地域における18歳人口や志願者動向の推移、綿密な競合校の分析、さらには類似する改組を行ったモデル校の分析など、詳細な定量データの提示が必須条件となりました。
4. アンケート調査の指定と分析の高度化
学生確保の根拠として提出する「受験対象者等へのアンケート調査」についても、手法や内容に対する要求が極めて高くなっています。以前のような単純な調査ではなく、オープンキャンパスや進学説明会の来場者など、自学に明確な興味を持つ層を対象とすることが求められます。さらに、アンケートの設問項目や選択肢(卒業後の進路、希望する設置者、興味のある学問分野など)が細かく指定されるようになりました。これらの設問結果を用いて、本気で入学を希望している志願者層をあぶり出すための「クロス集計」を行うことが必須とされており、従来の簡易な調査方法では、期待される入学見込み者数を証明できず、アンケートのやり直しを求められるリスクが高まっています。
【船井総研の提言】
近年の設置認可申請は、学生確保の厳格化など高い審査ハードルが設定されています。十分な準備なしには認可取得は望めません。中長期的な市場動向や競合分析に基づき、建学の精神に沿った明確な特色を打ち出すことが重要になります。

