A.大学の教員審査の基準は、「研究業績」「教育業績」が職位ごとに総合的に評価されます。基本的には実績が重視されるため、経験のある職位、授業科目は審査も通りやすいです。なお、実務家教員については、分野によって異なりますが、講師までであれば基準は比較的ゆるやかです。一方、教授・准教授は全国規模の実績や書籍等による知見の発信が必要です。
1. 職位ごとに求められる「研究業績」の基準
教員審査において、研究業績(学術論文数や学会発表回数、保有学位)は職位ごとに明確な目安が設けられています。
教授:論文数30編以上、学会発表30回以上、博士学位准教授:論文数15編以上、学会発表15回以上、修士学位(博士が望ましい)講師:論文数8編以上、学会発表10回以上、修士学位助教:論文数2編以上、学会発表2回以上、修士学位ただし、これらはあくまで基本であり、論文の質が重視される傾向にあります。海外雑誌や査読付き論文、単著論文が多い場合は、上記の論文数に満たなくても認められるケースがあります。逆に、所属大学の紀要の比率が高い場合は、より高い教育実績が必要となります。
2. 職位ごとに求められる「教育業績」の基準
教育業績としては、大学における専任教員としての経験年数が重視されます。
教授:准教授以上の経歴が通算5年以上准教授:講師以上の経歴が通算5年以上講師:助教以上の経歴が通算5年以上助教:助教以上の経歴があることが望ましい
「専任の教育経験」は審査において極めて有効に働きます。また、過去の職位からアップして審査を受ける場合は、5年以上の専任教育経験が目安となります。なお、短期大学での教育実績はみなされますが、専門学校での実績は大学教員としての実績とはみなされない点に注意が必要です。
3. 実務家教員に求められる実績の基準
年需要が高まっている「実務家教員」については、学術的な研究業績の代わりに、担当科目に関連する「業界経験(実務の業績)」が評価されますが、その基準は分野によって曖昧な部分もあります。例えば、看護系などでは実務経験が豊富であっても教員審査では認められにくい傾向があります。一方、情報系などの分野では、実務の経験が審査において尊重されやすいという特徴があります。
4. 実務家教員の職位ごとの通過ポイント
実務家教員として審査を受ける場合、講師までであれば、現在役職に就いていなくても、修士号を保有し、実務の経験を詳細にしっかり記載することで審査を通過できるケースが多いです。しかし、准教授や教授レベルになると、いわゆる全国規模の実績が必要になってきます。特に、単なる業務の実績だけでなく、得られた業務での知見を書籍にまとめるなど、社会に対してアピールできる形で発信しているかどうかが非常に重要になります。
5. 教員審査を通過するための組織的対応
教員審査の書類(教員個人調書)の作成を、候補者の先生方にそのままお願いしてしまうと、十分な業績が記載されない不完全な形で提出されてしまい、本来通るべき職位で通らないという事態が発生しがちです。先生方の負担を軽減し確実な審査通過を目指すためには、大学側で作成マニュアル等を整備し、組織的に対応していくことが重要です。
【船井総研の提言】
教員審査を確実に通過するためには、教員候補者の選定段階から文科省の基準を正確に把握し、個々の業績を客観的かつ適切に評価することが必要です。また、個人調書の書き方一つで判定が大きく左右されるため、学内での入念な推敲と添削体制の構築を強くお勧めします。専門家の知見を取り入れることが、スムーズな設置認可への近道となります。

