Q.大学の新しい学部学科の設置基準は?

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執筆者船井総研教育・保育業界コンサルグループ
コラムテーマ経営課題FAQ
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A.大学の新しい学部学科の設置は、主に「教育課程の編成」「教員組織」「施設・設備」「学生確保の見通し」の4つの基準で審査されます。近年は、3つのポリシーの整合性や、客観的データに基づく学生確保の厳格な証明、令和4年導入の基幹教員制度に基づく適切な教員配置が、認可通過の重要になります。

1. 教育面と経営面から行われる審査体制

学部学科の設置認可にあたっては、文部科学省の審議会において厳密な審査が行われます。この審議会は主に二つの組織で構成されています。教育課程の体系性や教員組織、施設・設備といった教育研究の質を審査する「大学設置分科会」と、法人の財務状況や管理運営体制といった経営の安定性を審査する「学校法人分科会」です。それぞれの専門的な視点から計画の妥当性が評価されます。現在は書類の体裁を整えるだけでは通過できず、教育と経営の双方において高い水準の準備と、大学を運営する社会的責任の自覚が求められる審査体制となっています。

2. 客観的な指標に基づく長期的・安定的な学生確保

認可基準において非常に重視されるのが、「長期的かつ安定的に学生の確保を図ることができる見通し」です。少子化が進む中、希望的な予測を排し、18歳人口の動向や競合校の分析、受験生を対象とした質問紙調査などの客観的な数値情報に基づき、設定した入学定員を満たせるという論理的な根拠を示す必要があります。さらに、申請時には学生募集が事前の計画通りに進まなかった場合の対応策についても妥当性が審査されます。認可後の追跡調査においてこの計画や対応策が順守されていないと判断された場合は、一定期間の新たな設置や定員増を認可しないなどの措置がとられるため、実態に即した計画づくりが重要です。

3. 教育課程の編成における「3つのポリシー」の整合性

教育課程に関する基準では、「養成する人材像」が社会のニーズを踏まえているかが問われます。その上で、「ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)」「カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)」「アドミッション・ポリシー(入学者受入れの方針)」の3つのポリシーが策定され、それらが教育課程と体系的に整合しているかが厳しく審査されます。審査においては、図や表(カリキュラムマップ等)を用いて、これらの相関と整合性を明確に説明できることが基準となります。

4. 新制度に対応した「教員組織」と基幹教員の配置基準

教員組織の基準においては、令和4年度の大学設置基準等の改正で導入された「基幹教員」制度への対応が必須です。大学設置基準等で定められた必要基幹教員数を満たし、主要授業科目に適切に配置されているかが基準となります。また、各教員に対する教員審査では、「専任の教育経験」や分野に応じた「研究実績(論文数や学会発表等)」が厳しく問われます。教員への過度な負担がないか、年齢構成が過度に高齢に偏っていないかも、組織としての重要な審査基準となります。

5. 既存学部等の定員管理に関する基準の引き上げ

新しい学部学科を設置する際には、大学全体としての定員管理の状況も問われます。これまでは既存学部の定員充足率が5割未満の場合に新設が認められないという基準でしたが、令和11年度(2029年度)開設分からは、この基準が7割未満へと引き上げられます。また、基準を判定する時期も申請年度から開設の前年度へと変わります。定員を満たしていない学部を廃止する計画がある場合などは、例外として扱われる制度も用意されています。

6. 教育を支える「施設・設備」の整備基準

教育上必要となる校地や校舎の面積、教室、教員研究室、図書館などが、設置基準に基づいて適切に整備されているかも重要な基準です。新設する学部学科の教育課程(講義、演習、実験・実習など)を理論上確実に実施できることを、図面や時間割を用いて証明する必要があります。また、施設や備品、図書を揃えるための標準設置経費や維持経費の見積り、その財源が明確であることも求められます。

【船井総研の提言】

学部学科の設置基準は年々厳格化しており、特に「学生確保の見通し」の証明や「教員審査」には専門的なノウハウが求められます。設置を成功させるには、単なる手続きとしてではなく、大学の経営安定化を見据えた戦略的プロジェクトとして取り組むことが不可欠です。早期の市場調査と綿密な事前準備を強くお勧めします。

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執筆者 : 船井総研教育・保育業界コンサルグループ

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