A.学生確保の見通しのアンケートは、オープンキャンパス来場者等の関心層を対象に、指定された5つの必須設問(卒業後の進路、設置者の希望、興味のある学問分野、受験希望、入学希望)を用いて実施します。得られた回答をクロス集計し、条件に合致する確実な入学見込み者を客観的に分析・証明することが求められます。
1. 調査対象者の選定とアンケート実施のタイミング
学生確保の見通しを証明するためのアンケートでは、むやみに数を集めるのではなく、獲得する情報の「信頼性」が最も重視されます。そのため、オープンキャンパスや進学説明会の来場者、あるいは附属高校の在籍者といった、すでに当該大学等に興味・関心を持っている層を対象とすることが推奨されています。 また、アンケートを実施する時期や地域が適切であることも重要です。新設組織の開設時期とアンケート対象者の入学時期が一致しているか、さらには想定している学生募集地域と対象者の居住地域が合致しているかなど、ターゲット層を正確に捉えた調査設計が求められます。社会人や外国人留学生を対象とする場合も、同様に適切な層へアプローチしなければなりません。
2. アンケート対象者に明示すべき必須情報
アンケートに回答してもらう際、回答者が新設組織の概要や教育理念を正しく理解していなければ、有効なデータとは見なされません。そのため、調査時には新設する学部・学科等の名称だけでなく、設置の理念、養成する人材像、アドミッション・ポリシーといった教育内容の核心部分を明示する必要があります。 さらに、キャンパスの設置場所やアクセス情報、入学金や授業料などの学生納付金に関する具体的な金額、そして競合となる他の大学や学部学科等の名称も包み隠さず提示することが求められます。これらの十分な情報を提供した上で得られた回答でなければ、学生確保の根拠として認められない可能性があります。
3. 5つの必須設問とクロス集計の詳細
調査結果に基づく分析を適切に行うため、アンケートには文部科学省が指定する以下の5つの設問を必ず組み込む必要があります。手引では、これら1から5の条件に「全て合致する者」をクロス集計した上で分析を行うことが定められており、これが満たされない場合は、審査において学生確保に関する根拠として認められない可能性があると明記されています。
具体的な設問と選択肢は以下の通りです。
- ①卒業後の進路(大学、短期大学など)
- ②進学を希望する場合の設置者(国立、公立、私立)
- ③興味のある学問分野
- ④新設組織の受験希望の有無(第一志望、第二志望など)
- ⑤新設組織に合格した場合の入学希望の有無
調査結果は、これら1から5の条件すべてに合致する者をクロス集計で絞り込み、主観を排した定量的な「確実な入学見込み者」として客観的に証明する必要があります。
ただし、指定の設問結果から入学者を見積もる際、過去のオープンキャンパス参加者のデータ等で「第二志望や第三志望と回答した方のうち何%が実際に入学したか」という客観的な実績データがあれば、第一志望だけでなく、第二・第三志望の学生であってもデータとして入学者見込みに算入することが可能です。
なお、新設組織の特色(社会人や留学生を対象としている、大学独自の奨学金制度がある等)を踏まえた設問や選択肢を追加し、それを条件に加えてクロス集計の分析を行うことも認められています。
【船井総研の提言】
学生確保に関する審査は年々厳格化しており、アンケート調査では文部科学省指定の設問を用いた厳密なクロス集計が必須となっています。単なる意向調査ではなく、確実な入学者数を証明する「客観的データ」として提示しなければなりません。オープンキャンパスでの戦略的な実施など、早期からの周到な準備を強くお勧めします。

