A.18歳人口の減少に伴い、大学の市場は縮小に向かっており、経営見通しの悪化から組織の転換を迫られる事例が増えています。今後は大学の統廃合や設置者の変更(事業の譲渡など)を通じた業界の再編が進むと予測されています。
1. 18歳人口の減少に伴う市場の縮小とM&Aの加速
大学の進学者はこれまで増加してきましたが、今後は18歳人口の減少に伴い、市場の縮小・撤退が本格化すると予測されています。経営の見通しが立たなくなる大学が増加するなかで、より資本力のある民間企業の参入や、勢いのある大規模大学による吸収合併が増加していくことが予想されています。
2. 設置者の変更(事業の譲渡や統合)に関する手続き
事業譲渡のスキームは大きく分けて「役員変更(役員の変更による経営権の取得)」「合併(二つの法人が解散し、新たな学校法人を設立)」「吸収(一つの法人が解散し、片方に大学の設置者を変更)」「新設分離(譲渡される大学の受け皿となる学校法人を新設)」「吸収分離(2つの学校法人間で大学の設置者を変更する)」等の5つのパターンがあり、パターンに応じて必要となる手続きも異なります。また、近年では学部単位での設置者変更が認められるようになっていますが、変更の前後で教育課程や教員組織などの同一性が保たれていることが前提となります。
3. 設置者の変更(事業の譲渡や統合)による金額算定
株式会社のM&Aと異なり、株式による金額算定ができないことが大きな特徴です。多くの場合は固定資産額、事業性・収益性の評価を踏まえて価格の算定が行われます。
4. 大学や学部の廃止に関する手続き
大学そのものを廃止する場合は文部科学大臣の「認可」、学部や学科を廃止する場合は「届出」の手続きとなります。大学全体の廃止認可申請は在学生がすべていなくなってから提出し、学部等の廃止届出は在学生がいなくなることが確定した段階で提出します。
廃止の手続きにおいては、廃止の事由のほか、在学生への対応、教職員の処遇、施設設備の取り扱い、学籍関係書類の保存方法などを書面で明確にする必要があります。とくに、設置者変更に伴って大学等を廃止する場合、新しい設置者のもとへ移る学生や教職員に対して十分な説明を行い、全員から同意を得ることが求められます。
【船井総研の提言】
少子化の進行により、大学の統廃合や法人の合併、学部の廃止といった事業構造の見直しは重要な経営判断となっています。これらを進めるには、在学生や教職員への丁寧な配慮と、法令に基づく着実な手続きが求められます。船井総合研究所では、学校法人の再建計画の策定や、事業譲渡等に伴う事前の事業性調査など、経営の安定化に向けた支援実績を有しています。

