A.大学教員の審査で提出する「研究業績書(教育研究業績書)」の書き方は、研究分野やキーワードを適切に選択した上で、「教育上の能力」「職務上の実績」「研究業績」の3要素を具体的に記載することが重要です。特に近年は「教育上の能力」が重視される傾向にあり、担当科目と結びつけた教育方法の実践例や教材作成の効果を明確に示すことが審査通過の鍵となります。
1. 研究分野と研究内容のキーワードの選び方
研究業績書の冒頭では、「研究分野」と「研究内容のキーワード」を記載します。これらは、科学研究費助成事業の審査区分表などの名称に準拠して選択します。研究分野は主なものを3つ以内で、研究内容のキーワードは5つ以内で記入してください。専門職大学や実学重視の学部において、実務の知識や経験を有する「実務家教員」としての審査を希望する場合には、研究分野に「〇〇に関する実務」と記載し、職務内容を表すキーワードを設定することがポイントです。
2. 重視される「教育上の能力に関する事項」の書き方
近年、教員審査において著書や論文だけでなく、特に重点が置かれているのが「教育上の能力」です。担当予定科目に関連する取り組みを、過去から現在まで具体的に記載します。 「教育方法の実践例」では、授業外での学習促進やICTを活用した指導など、学修効果を高めた工夫と成果を明記します。「作成した教科書、教材」については、出版物に限定せず、講義用プリントや実習マニュアルなども対象となります。作成したねらいや、それによって平均点が向上したなどの具体的な教育効果を記載することが高評価につながります。
3. 実務家教員に必須の「職務上の実績に関する事項」の書き方
実務経験を強みとする実務家教員等の審査において、「職務上の実績に関する事項」の記載内容は合否を大きく左右します。担当科目に関連する資格・免許や特許等を漏れなく記載するとともに、「実務の経験を有する者についての特記事項」として、企業や大学での共同研究、実務に関する教育・研修の指導経験、各種審議会での実績などを具体的に記載します。職能団体からの評価なども併記し、自らの実務経験がいかに教育へ還元されるのかを説得力を持って示すことが重要です。
4. 漏れなく正確に記載する「研究業績等に関する事項」の書き方
「研究業績等に関する事項」では、研究に関連する主要な業績を、著書、学術論文、その他(学会発表等)に区分し、発表順に記載します。単著・共著の別や発行所、掲載雑誌名、巻・号、ページ数なども正確に記入してください。共著の場合は、本人の担当部分(章・節・ページなど)と、本人を含む著作者全員の氏名を記載する必要があります。また、各業績の概要を200字程度で簡潔にまとめることも求められます。なお、未発表の業績は記載できないため注意が必要です。
【船井総研の提言】
研究業績書の質は、「通るべき職位が通らない」といった事態を防ぎ、適切な職位で審査を通過できるかどうかに直結する極めて重要な書類です。そのため、個人の実績を客観的に評価し、学内で入念な推敲と添削を行う体制の整備が不可欠です。書き方のマニュアル化や専門家による客観的なチェックを取り入れ、不備のない質の高い調書に仕上げることが、スムーズな学部学科設置への近道となります。

