A.3つのポリシー(ディプロマ、カリキュラム、アドミッション)は、大学が「どのような人材を育成し、そのためにどのような教育を行い、どのような入学者を求めるか」を一貫して示すために必要です。学部学科の設置審査においても、これら3つのポリシーと養成する人材像、教育課程の体系的な整合性が厳格に問われます。
1. 大学の教育クオリティを担保する「ディプロマ・ポリシー」
ディプロマ・ポリシーは、新設する各大学、学部・学科等の教育理念に基づき、学生が「どのような力を身に付けた者に卒業を認定し、学位を授与するのか」を定める基本的な方針です。これは、大学が社会に対して約束する人材像のゴールであり、学生にとっては在学中に達成すべき学修成果の目標ともなるものです。この方針が明確に定められているからこそ、大学の教育の質が客観的に保証され、社会のニーズに応える人材を継続的に輩出することが可能になるのです。審査の観点では社会からの必要性に基づかれた「養成する人材像」との整合、カリキュラム・ポリシーとの整合、対応する教育課程や授業科目との整合が強く求められます。
2. 目標を達成するための「カリキュラム・ポリシー」
ディプロマ・ポリシーで掲げた目標を達成するために必要なのが、カリキュラム・ポリシーです。この方針では、ディプロマ・ポリシー達成のために、どのような教育課程を編成し、どのような教育内容・方法を実施し、学修成果をどのように評価するのかを定めます。審査においては、この方針がディプロマ・ポリシーとの関連が十分にあるか、各授業科目(必修・選択の別や配当年次など)との関連しているかが厳しくチェックされます。目標と教育内容の結びつきを示すカリキュラムマップ等の図表を用いて、体系性を客観的に証明することが求められます。また、カリキュラム・ポリシーは「3つのポリシー策定のガイドライン」より、教育課程の編成方針(どのような授業科目を編成するのか)、教育課程の内容(講義・演習・実習やPBLなど、どのような方法で授業を実施するのか)、学習成果の評価方針(どのような方針で評価をおこなうのか)の3つの観点での作成が必要です。
3. 大学に適した学生を受け入れる「アドミッション・ポリシー」
アドミッション・ポリシーは、大学の教育課程や前述の2つのポリシーに基づく教育内容等を踏まえ、「どのように入学者を受け入れるか」を定める基本的な方針です。ここでは、「学力の3要素」に関してどのような成果を入学者に求めるかを明確に示します。この方針に基づき、一般選抜や学校推薦型選抜など多様な入試区分において、求める資質・能力を適切に評価する選抜方法を設計する必要があります。入口である入学者選抜が適切に行われて初めて、その後の教育と卒業時の目標達成が確実なものとなります。
4. 設置審査で問われる「3つのポリシーの整合性」
これら3つのポリシーがなぜ文部科学省の設置審査で重視されるかというと、単に方針を掲げるだけでなく、それらが社会からの必要性の基づいた「養成する人材像」と連動し、教育課程と体系的に整合しているかが、大学教育の根幹をなすからです。審査においては、文章による明確な説明を前提とした上で、図や表を用いてこれらの相関や整合性を客観的に示さなければなりません。どこかに矛盾や説明不足があれば、設置計画そのものの妥当性が疑われることになります。
【船井総研の提言】
3つのポリシーは、単なる認可申請用書類の項目ではなく、大学の教育の質を担保し、社会への提供価値を明確にする教学マネジメントの要です。策定にあたっては、建学の精神や市場のニーズを出発点とし、ポリシー間の完全な整合性を図ることが不可欠です。本質的な大学改革を見据えた策定プロセスをお勧めします。

