A.大学設置のアフターケア(AC)とは、新設学部等が「完成年度」を迎えるまで毎年行われる「設置計画履行状況等調査」のことです。申請時の計画は「社会との約束」であり守る必要があります。大学設置分科会と学校法人審議会の双方へ報告書を提出し、履行状況が確認されます。
1. アフターケア(設置計画履行状況等調査)の目的と対象期間
大学の新設や学部等の開設、あるいは収容定員増に伴う学則変更の認可を受けた場合、原則として開設年度に入学した学生が卒業する「完成年度」を迎えるまで、設置計画履行状況等調査(通称:アフターケア、AC)の対象期間となります。この調査の最大の目的は、認可・届出時の附帯事項への対応状況や、学生の入学状況、教員の就任状況といった「設置計画」が着実に履行されているかを確認することです。計画通りに進んでいない場合は文部科学省から必要な指導や助言を受けます。
2. 毎年の「設置計画履行状況報告書」の提出と調査手法
調査対象となる大学は、毎年5月下旬を期限として文部科学省へ「設置計画履行状況報告書」を提出します。提出された申請時の計画は「社会との約束」であるため、それを完全に守ることが大前提となります。ただし、約束を守った上で、教育の質をさらに上げるためのプラスの変更を行うことは許容されます。また、履行状況の報告は、教育面を審査する「大学設置・学校法人審議会(大学設置分科会)」と、財務や管理運営面を審査する「学校法人審議会」のそれぞれに対して提出する必要があります。
3. アフターケア期間中の教員変更と「AC教員審査」
アフターケア期間中において、実務担当者が最も注意すべき点が「基幹教員(専任教員)の変更手続き」です。設置計画履行期間中に、やむを得ない事情で基幹教員を新たに採用する場合や、担当授業科目を追加・変更する場合、職位を昇格させる場合などは、原則として事前に「基幹教員(専任教員)採用等設置計画変更書(AC教員審査)」を提出し、審議会による教員資格審査を受けなければなりません。AC教員審査を経ずに授業を担当させることはできません。
4. 計画の不履行によるペナルティリスク
アフターケアにおいて、学生確保の見通しや教員補充などの設置計画が守られていないと判断された場合、重大なペナルティリスクが生じます。例えば、辞任した基幹教員の後任が補充されていなかったり、補充されていても主要科目を基幹教員以外の教員に担当させたりしている場合は、「設置計画の履行状況が著しく不適当」に該当するおそれがあります。 設置計画の履行の状況が著しく不適当と認められる場合、その大学を設置する学校法人からの新たな学部・学科等の設置認可申請が認められなくなる(認可されない)という厳しい措置が法令等により規定されており、将来の成長戦略に影響を与える可能性があります。
【船井総研の提言】
アフターケア(AC)は単なる事後報告ではなく、大学の社会的責任を果たし、次なる改革の足場を固めるための重要なプロセスです。AC期間中の教員変更手続きの漏れや学生確保の不調は、最悪の場合「新設認可の停止」という経営を揺るがすペナルティを招きます。設置認可後も決して気を緩めず、ACを見据えた緻密な学内進行管理体制の構築を強くお勧めします。

