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株式会社 船井総合研究所 福祉グループ マネージャーの児玉 梨沙です。
朝晩の空気に秋の深まりを感じる季節となりました。運動会などの大きな行事がひと段落し、一息つかれている園様も多いのではないでしょうか。そしてこの時期は、来年度に向けて職員の意向調査の準備や人事計画づくりが本格化するシーズンでもあります。
さて、保育園・幼稚園・認定こども園の経営者様から、次のようなお悩みをよく伺います。
「なんとなく人手不足な気がするが、具体的に何人採用すればいいのか分からない」
「求人を出しているのに、来てほしい時間帯の人が来ない」
「職員を増やしたいという声は多いが、経営的にはむしろ人件費比率を下げたい」
一見バラバラに見えるこれらの悩みには、実は共通の根っこがあります。それは、法人の中に「目指すべき組織図」が共有されていない、ということです。
現場と経営で答えが違う「人手不足」が指す意味
「人手不足」と一言でいっても、その意味は人によって大きく異なります。
現場の職員:朝夕が手一杯で、とにかく余裕がない
経営者:加算につながる配置が満たせていない
同じ法人の中でも、見えている課題がバラバラということは珍しくありません。
この認識の齟齬を埋めないまま採用を進めると、採用した人員が「現場が本当にほしい時間帯・役割」とズレてしまい、「人手不足感」は解消できないまま人件費だけが増え、経営を圧迫する二重苦に陥ってしまいかねません。
逆に言えば、齟齬をきちんと埋められれば、人手不足感の解消と人件費の適正化は、両立できるということです。そのために不可欠なのが「目指すべき組織図」です。
人事戦略の出発点は「目指すべき組織図」を握り合うこと
まずは、登園状況とシフトをもとに、時間帯別・クラス別の職員配置を可視化します。「なんとなく足りない」を、「7時台は○人不足」「日中は基準の○倍配置になっている」といった数字に翻訳する作業です。
これまでご支援した法人様でも、分析を進めると「確かに朝夕は不足しているが、日中は必要保育士数の倍近く配置していた」というケースは少なくありません。現状が数字で見えると、「不足」の正体が人数なのか、時間帯なのか、特定の役割なのかが判別できるようになります。
次に、目指すべき組織図を描きます。ポイントは、基準配置の充足だけでなく、加算と人件費の両方の視点を盛り込むことです。
処遇改善等加算をはじめとする各種加算を適切に取得するためには、どの資格・役割の職員が、どの時間帯に、何人必要なのか。また、逆に人件費を適正化するために、どの時間帯は正規職員ではなくパート職員で賄うのか。こうした「どうありたいか」を、1枚の職員配置図(組織図)に落とし込みます。
描いた組織図は、経営者様・園長先生・現場の三方で共有し、納得感をもって合意するまで擦り合わせてください。ここで大切なのは「押し付け」ではなく「握り合い」です。数字を根拠に現場の体感と経営の都合をすり合わせることで、「なんとなくの人手不足感」が共通言語の「配置計画」に変わります。
施設が2つ以上あるなら「異動」を特別なものにしない
複数園を運営する法人様なら、ぜひ「異動」を人事戦略の武器にしてください。
異動が「特別な出来事」のままだと、さまざまな支障が出ます。一人だけの異動は本人の居心地が悪くなりやすく、受け入れ側への情報共有も途切れがちです。
そこでおすすめしたいのが、定期的に、施設職員の一定割合(目安は3割程度)が入れ替わる運用です。多くの職員が毎年のように異動を経験していれば、「異動=自分だけが特別に動かされるもの」ではなく「クラス替えと同じくらい自然なこと」という認識が醸成され、抵抗感は着実に薄まっていきます。
異動を自然にできる法人は、法人としての一体感が高まりやすい傾向があります。ここは鶏と卵の関係でもありますが、法人としての経営方針発表会など、施設の垣根を越えて職員同士が顔を合わせ、同じ方向を向く機会をつくることは、異動しやすい風土づくりの有効な一手です。
また、保育・福祉事業は「制度事業」です。制度やルールの変更に伴い、必要な職員配置は定期的に変わります。「誰を、どの施設に配置したいか」が変わる前提で人事を組める法人——つまり異動を自然にできる法人は、環境変化への耐性が格段に高くなります。変化に強い法人になるためにも、異動を特別なものにしないことをおすすめします。
意向調査は「職員の意向」と「法人のこれから」を出会わせる場に
人事戦略は、特別なものではありません。いずれの取り組みも、「今こうだから」という現状の延長ではなく、法人がどうありたいかから逆算して設計することが重要です。
そして、まさに今この時期がその検討の潮時です。意向調査は、職員一人ひとりの意向を伺う場であると同時に、法人のこれからを伝え、すり合わせる絶好の機会です。職員の意向と法人の方向性の両方を掲げた上で意向調査を行えば、来年度の人事計画は格段に立てやすくなります。職員一人ひとりの意向とともに、法人のこれからも、ぜひあわせて考えていただければと思います。
「自園の組織図や職員配置を、第三者の視点で見直したい」
「採用計画や意向調査の進め方をプロに相談したい」
「処遇改善等加算を見据えた人事戦略を一緒に設計したい」
そのようなお悩みがございましたら、ぜひ船井総合研究所の経営相談会やセミナー、無料相談をご活用ください。延べ多数の保育園の経営コンサルティングで培ったノウハウをもとに、貴法人の状況に合わせた人事戦略の具体的な道筋をご提案いたします。最新のセミナー開催情報やお役立ち資料も、弊社サイトで順次公開していますので、あわせてご確認ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


